パソコンの電源を入れるとピーポーと変な音がして、ノートンかけたおやじだ。
無理矢理、有給を使ってハローワークへ向かう。
零細企業にとって有給なんてあってないようなもの。
体調不良でどうしようもないときにしか、使えないのが普通だ。
正直マジで焦っている。
年齢だけがガンガン増える。
とにかくハローワークで検索だ。
…ない。全然ない
ネット上である程度調べていたので、予測していたが6月より明らかに求人が減っている。
どうやら5月病で辞めた連中の空席が埋まったようだ。
ちょっと検索条件を絞り込むと0件。
ヤヴァイ。
とにかくプリントアウトしまくって、家に帰ってからネット上でどういった企業か裏をとる事にする。
帰りにサラリーマン風の男に「仕事お探しですか?」と声をかけられる。
以前に一度AV男優として、声をかけられた事がある。
そのときは断ったが、今は出ても構わない気持ちだった。
話を聞くことにする。
自衛隊への勧誘だった。
しばらく説明を聞く。
聞いているウチに、今の俺の根性をたたき直すには、一度こういった経験も必要な気がしてきた。
試験だけでも受けようという気になった。
そう伝えると…
勧誘「27歳以上は無理なんですよねぇ…」
ぬわぁんじゃぁ!そりゃああぁああ!
勧誘されて、話にのったら断られたぁああぁああ!
とっとと勧誘は去っていった。
若く見られたのはうれしいが、その数千倍の絶望が俺を襲う。
俺は小走りでハローワークの近所の駅のトイレに向かい、大便器の個室に入る。
直立不動のまま、顔だけを下に向ける。
そのまま目を閉じて、さっき受けた恥辱を思い出す。
涙は出なかった。