空中都市ザレム

パソコン～トラベル～探偵団～、おやじだ。
朝起きると胃の違和感が消滅。
良かったぁ。
体を一度でも壊すと人生ゲームオーバーなんだから…頼むよ、ほんと。
とにかく、食事の取り方や休息時間の確保だけは、入念にチェックしておこう。
そんな決意をあざ笑うかのごとく激務。
悲鳴を上げる率がドンドン上がる、加齢した体。
休憩室での「アレ？まだ辞めないの」と言った無言の圧力の中での、中身のない上司との会話。
小走りでやってきて、いきなり怒号を発する得意先の営業。
もう、なにが自分にとって負担なんだかわからん。
えー、全部だ、全部。
職場で起こる物事、全てが負担だ。
負担が大きければ大きいほど、金に変わるならまだ我慢出来る。
いや、我慢するべきだろう。
しかし、俺の財布の中はスッカラカン。
給料日にいつも思うのは「これだけやって…たったコレっぽっちかよ」という虚無感。
ニュースじゃあいからわず「景気回復の兆し」「景気回復傾向」とか言っている。
もう聞き飽きたよ。
何年、同じ事言ってんだよ。
兆しってなんだよ。
傾向ってどういう事だよ。
景気が良いのは最初から金持ちの連中だけじゃねぇか。
あ…ニュースやっている連中は金持ちか…。
エリートさんだったな、スマンスマン。
ハナから住む世界が違うんだな。
テレビモニターの向こうには、もう何年も前からずっと景気回復しっぱなしの世界がある。
近くて遠い別世界。
小綺麗な町並みで美男美女ばかりが肩を並べ、アフターファイブを満喫しまくる桃源郷。
行ってみたいなぁ、黄金の国。
………じゃあ、俺が今いる国はどこだってんだよ。