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底&底

仕事から帰るとしばらく動かなくなる、おやじだ。
いつも約束なしで、学生時代の知人達が集結する喫茶店で珍しいヤツを発見。
仮に「知人N」としておこうか。
本当のイニシャルはM。
でも宗教に走った知人Mとかぶるから、この日記では下の名前で知人Nと呼ぶ事にする。
知人Nは熱い男だ。
ド熱い中年。
どのくらい熱いかというと…
D&DというサイコロとRPGを足したようなゲームに熱中しすぎて、中学の卒業式にこなかったぐらい熱いヤツだ。
卒業式に出なかったのは、いじめも少し原因にあったらしいが突っ込んで聞いた事はない。
子供心に聞いちゃいけない気がしていたからだ。
「割としゃべっていた方だろう」
という担任からの指示で卒業証書を知人Nのウチに持っていたのも、今では良い思い出。
部活のメンバーとは夜会う約束をして、とりあえず卒業証書を持って知人Nのウチに行った。
「Oか!。ちょうど出来た所だ、入れよ!。」
待っていたのは、知人Nが作った長大なダンジョンだった。
N曰く、本当はこのサイコロRPGの方が、本当のRPGらしい。
今まで、何度か知人Nのウチでやった事がある。
卒業式なんかより自作ダンジョン。
俺はこの知人Nの妙なマイペースが、なんとなく居心地が良い。
子供の頃から人の顔色ばかり見て生きていた俺には、憧れの存在だったかもしれん。
俺がサイコロを振ると知人Nが「ゴブリンだ!!」と右にのけ反る。
また俺がサイコロを振ると知人Nが「罠だ!!」と左にのけ反る。
卒業式直後のあの妙な空間は、今でも覚えている。
…で、月日が流れてお互い中年になった日曜日。
喫茶店で正面に座っている知人N。
そして俺と知人Nの間の机の上には、知人Nが作ったオリジナルモンスターのステータス表がある。
選挙がどんな結果だったとか知人Nには関係ない。
やっぱり知人Nは知人Nだった。
俺の知っている知人Nのままだ。
ただ残念な事は、俺が少し歳をとった事。
こういう話をするときは、声のトーンをもう少し落としてほしいと何度か思った。
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、今日も知人Nは元気にのけ反る。